2008年05月17日

青少年福祉局@ドイツ(下)

Braunさんのような「子ども世話人」が家庭へ
行ってみると「措置は終わったので もう明日から
来なくていい」と言われることもある。青少年福祉局も
Braunさんのような担当者も心配になる。その場合 
子どもが悲しみを負うことになる。

青少年福祉局の支援にとって 具合の悪いのは 
警察との接触である。支援は犯罪行為の行われる
場で しばしば なされる。たとえば継父が 子どもの
母親を殴るとか 子どもの兄が麻薬の売人で
あるという ことがある。
福祉担当者は犯罪を届出て、家族の強力態勢を
傷つけたら どうなるだろうか。ケースワーカーが 検事
のようでもあり、裁判官でもあるような 不当な行使
をする懼れもある。刑事は「子どもの世話人」の立場
を心配する。
犯罪者である親が ケースワーカーにいつでも解約通告
できるなら、犯罪者はもっとも強い立場に居ることになる。
警察官とケースワーカーの間の関係は たいへん問題点
の多いものだが、警察は青少年福祉局の最善の友である。

ドイツで 子どもの幸せの ために 働いているのは:
警察、青少年局、福祉事務所、無数の子どもの
担い手(Braunさんのような人)、保健所、福祉事務所、
幼稚園、学校、医師、健康保険機構、カウンセラーなど。

これらを まとめるシステムが必要である。
苦境にある一人の子どもについて 様々な組織が
情報を集める。しかし 情報保護のために 情報は
分かち合うことができない。

青少年局が ある家庭について知っていることを 
Braunさんは 長い間 知ることを許されなかった
という こともあった。
青少年福祉局と学校の間にも 断絶がある。
学校は州が運営していて、青少年福祉局は地方
自治体が運営する。教師は青少年福祉局へ 
簡単には 問い合わせることもできない。

小児科医のところで 子どもが致命的な病状に
なった場合に 医師は守秘義務を破棄しても 
いいが、それについて規則はない。
病院と小児科医は 相互に連絡網を作り、子どもの
特異な例を登録している。子どもを虐待する親は 
しばしば小児科医を転々と代えて 受診するが、
連絡網にひっかかって、虐待が発見されることがある。
しかし 青少年福祉局は 医師のデータへアクセス
できない。組織間の情報の やりとりは しばしば 
違法を覚悟のうえで行われる。

多くの親は 福祉担当者との間で もめたりすると 
他所へ引っ越す。しかし青少年福祉局は 別の町
の福祉局へ文書を回すことは 簡単には 許され
ない。情報の保護は 子どもの保護よりも 優先
されている。
情報保護の問題のほかに 青少年福祉局は
時間不足・人手不足にも悩んでいる。
Bielefeld市の青少年福祉局の職員は1人あたり 
55人の子どもを担当している。これは限界である。
多くの青少年福祉局では 一人の職員が100-
300人の子どもを担当していることもある。

青少年支援システムは1980年代の社会のために
考えられたものであり、今は別の社会になってしまっている。
下記サイトから:
http://www.stern.de/politik/panorama/:Jugend%E4mter-Alle/619924.html?p=3&nv=ct_cb

 


  


Posted by jtw at 11:36Comments(0)