2010年03月10日

野鳥のために餌台を置くのはいいことだinドイツ

マックス・プランク研究所のPeter Bertholdは
ドイツで指導的な鳥学者の一人。
自然保護家は長年、餌台は生態系を考えると、馬鹿げたことで、感傷的な動物愛護家の気まぐれだと主張している。Bertholdは学問的に これに反論する:

野鳥に餌をやることを思いついたのは ドイツ人であり、19世紀には それについての一般向けの本も出ている。
野鳥保護についてもっとも熱心な英国で 餌をやるのが悪いなどと言われていない。英国では 1930年代に冬だけでなく、年中無休で 餌をやることが始まった。
年中 餌をやると 野鳥は早く繁殖期に入り、多くの卵を生み、雛も多く生き残る。鳥の生息密度が高くなり 多くの鳥が定住する。
庭に巣箱を架けると このことが確認できる。餌をやると 巣箱の利用率が上がり、ほとんどすべての巣箱が利用される。餌をやらないと、あまり巣箱は使われない。
鳥は朝 マイナス10度になっても 1時間ほど餌を探す。もし餌が見つからないと どこかに座り込む。餌のある場を知らないと 見つけるチャンスはあまり ない。

自然保護家が餌台に反対するのは 1970年代に始まる。当時の活動家は 議会活動(議員との交渉)と生息地保護に専念していた。彼らは過去の鳥類保護活動や餌台・巣箱を軽蔑していた。そのうえ 自然保護団体は 多くの常勤職員を雇うようになり、人件費の心配をしなければならなかった。餌台も巣箱も高価なので これを止めれば節約になった。

ドイツ自然保護連盟の指針に従って 雪の積もった時と零下5度以下の時だけ、鳥に餌をやると ごくありふれた鳥が餌台に来る。一方、年中 餌をやっていれば 1日に30~70種、1000羽の鳥がくることもある。
たとえば バイエルンではキバシオオライチョウが定期的に餌台に来ているという報告がある。
普通は まずクロウタドリ(Amsel)やシジュウカラなど おなじみの鳥が餌台にくる。
野鳥の餌台はネズミを喜ばせるだけだという意見は 馬鹿げている。ネズミは明るい広い場所を避けるし、夜にでてくる。サイロ式の餌台もある。
餌台は鳥の排泄物によって鳥に感染症を広げるという説もあるが、普通 鳥は体温が43~44度もあり その温度で細菌が増殖する可能性は あまりない。
年中 誰も掃除しない餌台に鳥が集まってきて 鳥が健康でいられるというのは 驚くべきことだ。200年前の村のウンチまみれの街路にも 鳥はいた。

餌をやると鳥は 栄養の取りすぎにならないかと 心配する必要はない。昔は 鳥の餌になる種をつける野草が多かった。1950年にドイツの畑で 野草は100万トン以上の種をつくっていた。私と同年齢の人は 秋にジャガイモ畑が 雑草に覆われていたのを 思い出すだろう。穀物畑には ヒナゲシや矢車草があった。私達は完璧な工業的農業によって 鳥を追い出したのだから、埋め合わせに 餌をやった としても、昔あった膨大な種と比べものには ならない。

良い餌台とは
広い餌置き場に屋根がついていて、高い支柱の上にあるものだ。支柱が高ければ 猫が来たら 早く気付くことができる。プラスチックのサイロ式のは 清潔な状態を保てるし、餌が湿気ない。

理想的な餌は 穀類とシジュウカラ用団子の組み合わせだ。(日本にない団子? Meisenknoedeln)
脂肪は鳥にとって燃料だ。人間には炭水化物が燃料になる。だから シジュウカラ団子は夏にも大事だ(ということは この団子は脂肪からできているらしい)。この団子を食べれば 遠くへ飛んでいけて 雛の餌になる虫をたくさん捕まえられる。
ピーナツも大変いい。ただ ピーナツは鳥だけが 食べられるような やり方で 置いておかないと、リスに食べられる。
ケーキの残りや残飯は 鳥にやっては いけない。古いパンはカビが生えていると 鳥に悪い。人間の食べ物は塩分と香辛料が多すぎる。

餌台が 鳥の自然な生活圏の近くにあれば 近いほど多くの鳥が来る。ベルリンのビルの8階の窓敷居につけた餌台にも シジュウカラ、雀、アムセルは来る。大都会の雀の群れの中には 餌台を頼りにして 生き延びているのもある。(★うちには猫が2匹いて、たまに 鶯やメジロを捕って 見せにくるから 餌台を置けないけれど、イソヒヨドリや セキレイは来るかも知れない。雀は いなくなった★)

庭の木や低木になる実や果実だけでは 充分でない。鳥にとって実は補助食であり、果物だけでは 腹がへるので 種が要る。しかし50平方メーターの雑草地は1年に5キロの種を生むだけなので、それではアオカワラヒワ3カップルの食べ物にしかならない。庭一つでは 鳥の隠れ場所にも 繁殖の場にも ならないが、一つの餌台があれば 雑草の茂った庭よりも 多くの栄養を鳥に与えられる。

昆虫の減少は 幾つかの種の鳥にとって 大きい問題だ。1960年代に田舎を車でしばらく走るとフロントグラスにぶつかって死んだ虫の層ができる程で、それを 掻き落とさないといけなかった。今では 60年代と比べ、虫の数は1/4になった。そういう状況で雛を育てるのに 親鳥は昔の何倍も飛び回り 虫をあつめる。だから 少なくとも 飛ぶ燃料を人が補給してやると 鳥は助かるのだ。
下記サイトから:
http://www.welt.de/wissenschaft/tierwelt/article5910484/Voegel-fuettern-ist-unsere-moralische-Pflicht.html





  


Posted by jtw at 18:18Comments(0)