2010年12月25日

児童施設出身者を連邦議会で取り上げるinドイツ

2006年12月28日発:
(4年前の記事です)
「施設に居たときは 胸苦しい思いをもたないで
ベッドに入ったことは無かったし、朝 起きたことも
なかった。」

キリスト教立や国立の施設で1970年代初めまで 
多くの子どもが虐待され、精神的な重圧のもとで
暮らしていた。ドイツ連邦議会は初めて 当時の
施設入所者の不運に取り組んだ。

60歳代になった元入所者 Wolfgang Fockeは 
生きている間に 補償がなされるように願って
いると述べた。
1950年代と60年代という西ドイツの経済的奇跡の
時代に 多くの子どもが たいていの場合は 
些細な理由から 養護施設に入れられた。そして 
一生の間、魂において 意欲において 壊されて
しまった。
1945年から1975年までの間に キリスト教立と
国立の施設で 子ども達は 殴打され 自尊心を
傷つけられ、性的に虐待され、重労働を強いられた。
元入所者の生活の物語を 連邦議会の請願委員会は 
2006年12月の中頃に 約3時間に渡って聞いた。
このブログ カキコミの冒頭「・・・」の文は 
木靴をはいて泥炭を掘り取る作業を早朝からしていた
Wolfgangの報告である。
Wolfgang は15歳でなぜ施設にいれられたのか 
分からない。その後 1年間、言葉で言い表せない
肉体的苦痛や魂の苦痛、侮辱、殴打、拷問が続いた。
Dietmar(52歳)は施設入所中に暴行され 生涯続く
障碍を負った。食堂で2枚の皿を落としたという
理由で 左肩を壊されたのだ。
Dietmarは 性的虐待や恣意的精神鑑定についても
述べている。
労働により教育するというナチの精神で 行われ
ていた教育を Wolfgang はよく覚えている。
60年代初めに夏は1日8時間、農場で働いた。秋には 
10キロのハンマーを振り上げ 石を割り、
金梃子と鉄の楔で石を割る仕事をした。

施設にいた人の諸問題を再検討する計画が 
ドイツ連邦議会でも進められている。

Regina Eppert は 楽しかったはずの少女時代の
1962年を 施設で過ごさなければならなかった。
施設での 子どもの扱いについて倫理的罪を国が
認めることを 被害者は求めている。
施設は青少年局の指示を実行した。そして 施設の
監督が不十分であったために起きた虐待でもあった。
施設における児童労働は不正であったという
ことを解明することをも、被害者は求めている。

被害者の多くは今もトラウマに苦しんでいる。
トラウマを長期に渡って治療する費用が提供
されなければならない。
比較的小規模なプロジェクトとして 当時の
施設での子どもの生活状況を示す展示会が
提案されている。ドイツ歴史博物館での展示や 
移動展示が考えられている。施設の中には 
70年代の建物が今も残っているのもある。
それらは 記念建築物や展示場として適している。

施設出身者の協会が行った活動のうち、成功を
収めているものには被害者へのアンケートの
実施がある。西ドイツ全国の様々な施設で起きた
出来事についての情報は 約230ページの報告書
として出版されている。

教会立や国立の施設で行われた 子どもへの
人権侵害については 被害者自身による報告の
他に 公文書や文書のやりとりがある。
これらの文書は 職員が暴力を振るうこと、
監視が機能していないこと、抵抗する力のない
子どもが法的に保護を受けていないこと 
などを示している。
西ドイツが生まれて間もない時代の精神の中にも 
諸問題の原因が認められる。すなわち 
教育について権威主義的な理解があったこと、
ナチ独裁制への連続性が残っていたこと、そして
発展をひたすら目指した経済奇跡の国に生きた 
親・職員・施設経営者が 経済的に 人間的に 
道徳的に過重な負担を強いられていたことなとが 
原因として挙げられる。

西ドイツに3000の施設があった。その80%は
宗教団体による経営だった。50万人以上の子ども
が施設で暮らした。
犠牲者は今も「施設で育った元子どもの協会」に
異常な物語を知らせてきている。 
この協会の広報担当者 Michael-Peter Schiltsky 
は言う:当時 私たちは陳情団もなく、弁護士も
なかった。しかし今では 自分たちが経験を
積んだことにより 私たちは 子ども・青年・
老人の代弁者になれる。
下記サイトから:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101225-00000065-jij-soci

★ブログ管理人の蛇足:
施設出身者を追跡調査するのは 非常に難しいです。
日本でも 施設出身者の不運について 国会で
取り組まれて当然だと思います。
  


Posted by jtw at 21:29Comments(0)