2010年12月21日

「施設で育った元子どもの協会」会長へのインタビュー

(2010年1月にでた記事です)
1940年代~70年代までに教会立や国立の施設で
虐待された 多くの児童のために 2010年1月13日
から ドイツ カトリック教会は ドイツ全国に
ホットラインを提供する。
電話相談の他に オンライン相談も提供する。

Monika Tschapek-Guentner(54歳)は2009年春から 
標記の協会の会長である。この会の会員は450人。
この領域で ドイツ最大の利害関係代理組織である。
被害者の総数は 50万人から百万人と見積もられている。

以下は 彼女へのインタビュー:
どんな対策でも 無いよりは 良いが、教会のホット
ラインでなくて 中立的な相談所の方がいい。
犠牲者の大半は 教会とは 縁が遠い。
非難されている施設の80%は 教会の運営していた
施設である。もし このホットラインへの反響が
少なければ 犠牲者は少ないと教会は言う
かもしれない。
教会は このホットラインによって 犠牲者と
接触し、ケーススタディを始めることもありえる。
ホットラインで犠牲者が語ったことに基づいて 
教会にとって都合のいい犠牲者を選ぶこともできる。

虐待された施設児童の諸問題は 2004年に初めて
公に論じられた。なぜ これほど長い間、犠牲者は
黙っていたのか?
それには 多くの理由がある。
犠牲者は まず社会の中で 居場所をつくらなければ 
ならなかった。社会から隔離されていて その社会へ 
身の回り品だけを持って出されたのだ。
過ぎたことは 早く忘れたかったのも 当然だ。
施設から出た後は 忙しかった。そのうえ 犠牲者は 
施設のことを語っても 誰も信じてはくれないと 
いうことも分かった。そして また 施設の子どもは 
自己について否定的なイメージを持ちがちだ。施設
では「君は悪いから 施設に来た」ということを
教え込まれていた。

施設での しつけの方法としては 独房監禁から 
冷水を浴びせることまで 様々だった。集団で暴行
することも 日常のことだった。罰として 寝室の
木の床を しゃがんで ワックスがけ させられた。
私のいた施設では 罰として 乾癬(皮膚病)の
子のベッドを整えさせられた。その皮膚病の子を 
吐き気を催させる患者として 職員が みんなに
紹介するというのは 差別であり、罰でもあった。

施設で虐待を受け続けると 根源的信頼を持てなく
なる。人は 疑いだけを 持つようになり、他の人
とのつながりを 作れなくなる。愛を感じたことが
ないのだから そうなってしまう。
そのうえ 実存的不安(生きていく不安)に常に
苦しむ。常時、施設が そのように教え込むのだ
から 無理もない。すなわち 君は何も持って
いないし、まったく なってない と 繰り返し
言われるのだ。
こういうことを 思い出して語るのは 本当に辛い。
子どもらしく過ごす時を喪失したということ、
人生の ある時期全体を無くしたということは 
圧倒的に辛いことだ。

施設は罪・過ちを 無条件に認めるべきだ。今も
なお 元施設の子どもは 自分は悪い人だという
烙印を自分に押して苦しんでいる。私たちは悪い人
ではない。責任を濫用した国や教会の施設経営者と
いうシステムに 私たちは引き渡されただけだ。

犠牲者は書類を 即座に閲覧できるようになる
べきだ。それは 自分の自己意識(自分が誰で
あるか)についての説明を獲得するためである。
多くの人は 自分の書類に たどり着くのが今も
難しい。書類を渡したくない 様々な役所と 
交渉するのは 大変な力仕事である。
下記サイトから:
http://www.wdr.de/themen/panorama/26/heimkinder_entschaedigung/interview_100108.jhtml?stdComments=1  


Posted by jtw at 21:42Comments(0)