2010年12月01日

少年非行/反社会的振舞は自然に正常になるわけない

青少年精神科医 Christian Bachmann は在来の
対策を批判し、「スーパー乳母」が増えることを
求める。

大事件を起こす非行少年は氷山の一角であり、
社会的言動についての障碍をもつ子どもや青年は 
ドイツに70万~80万人いると見積もられている。
これは 未成年人口の約8%にあたる。
これらの非行少年は 親の言うことを聞かず、
学校をさぼり、殴り合いをして、万引きや薬物をする。
Bachmann先生は ロンドンにある 精神科研究所
と国立子育て研究所で 効果的な青少年支援
プログラムを研究した。

以下は 同先生へのインタビュー:
非行少年は 親を殴るので 親はどうしようもない。
しかし精神科は 非行少年にとって適切な場ではない。
非行少年は 他人の言うことを聞かないし、摂食
障害があるわけでないし、薬は効かない。非行の
振舞は 教育の問題であり、精神科の問題ではない。
非行少年は しばしば精神科を受診し、それから
少年施設に行き、しばらくして逃げ出す。どこへ 
行っても うまく いかない。
反社会的振舞は なかなか変わらない。効果的な
対応を受けなければ もっと悪くなる。
そのような少年が成人すると、多くは反社会的
人格障害をもつことになり、刑務所に入る人も
少なくない。
今ドイツでは 少年施設やブートキャンプや
「警官と非行少年がサッカーをするプログラム」
などに大金をつぎ込んでいるが、これらは 効果
があるかどうか 専門的に検証されていない。

世界的に研究されているプログラムに、Multisystemic
Therapy(MST)があり、12~16歳の少年を対象と
している。MSTを支える考えは「養育することを
親に教える」というこをである。「スーパー乳母 
Super-Nannyの原則」と呼ばれる考えだ。
今までのドイツでの やり方は 非行少年を家庭
から 引き離し、施設やブートキャンプへ入れると
言うものだ。
MSTでは 非行少年と親に 普通の環境の中で 
親子の必要とすることを教える。MST治療では 
同時に 4~5家族の面倒をみる。個々の少年に 
多くの時間をかけられる。解決法は まったく
平凡なことであって、親は 子どもが毎日、何を
しているかを 繰り返し尋ねることを 学習する。
親子は 支援者・助言者に 24時間アクセスできる。
青少年局に問合せた場合は 何週間も待たない
といけないのとは 大変な違いである。

このプログラムは金がかかる。 一人の治療士
には 1年に最高、7万ユーロかかる。しかし 
施設は1日約200ユーロかかるので 年間7万ユーロ
の出費になる。
一方、治療士は 1年に少なくとも8家族の治療を
する。8家族のうち1人を施設に入らないで済む
ようにできれば 治療士の年間給料が でる。
(日本の児童養護施設でも 子ども1人あたり 
このくらいの措置費が支払われている)
MSTのプログラムを受けた非行少年について
調査したところ、プログラムの14年後に 平均2年
を刑務所で過ごしていた。普通の心理療法を
うけた対照群においては 平均4年を 刑務所で
過ごしていた。

ノルウエーでは MSTが全国的に実施されている。
そこでは プログラムの初めに 20%の非行少年が
学校に行っていて、終わりには80%が学校に行く
ようになっている。学校を卒業して人は 職に就く
人が多く、社会的に外れてしまう可能性が低くなる。
(つづく)
下記サイトから:
http://www.sueddeutsche.de/leben/diskussion-um-jugendgewalt-antisoziales-verhalten-waechst-sich-nicht-aus-1.1016321




Posted by jtw at 20:53│Comments(0)
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