2009年08月18日

「ユダヤ人を救った動物園」ダイアン・アッカーマン著

日本経済新聞 2009年8月16日の書評から抜粋:

著者は米ニューヨーク州在住のノンフィクション作家。
(青木玲訳、亜紀書房・2500円)

 ベラルーシとポーランドの国境に広がる、
ビアロウィーザという森がある。1万2千種の
野生動物が生息する。
本書は、森の動物を保護するワルシャワ動物園を
舞台に行われたユダヤ人300人の脱出劇を
ヤン・ジャビンスキ園長と妻アントニーナの手記、
関係者の取材をもとに描いた実話である。

ナチのポーランド進攻後、熱烈なナチ党員である動物園長
ルーツ・ヘックがワルシャワ動物園を訪れ、動物を
奪い去った。ヘックの目的は、ヨーロッパバイソン
など絶滅危惧種の保護。

非ユダヤ系の園長夫妻はナチの動物への偏愛を
逆手にとった。
地下活動のリーダーでもあったヤンは、昆虫好き
の党員に取り入ってゲットーに出入りする通行証
を入手。ユダヤ人に動物の名前をつけて園内の
キジ舎や地下室に匿い、協力者のいる田舎の
農園に避難させた。
民族絶滅を図る一方で希少種は救うという
ナチの狂気が不気味に浮き上がっていく。
 
ノンフィクション作家 最相葉月



Posted by jtw at 07:16│Comments(0)
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。