2010年06月06日

ラダックでの五体投地の群衆。

すべてのものの幸福を願って
薄井大還(うすい たいかん)写真家
月刊誌「春秋」2010年6月号 p.13~15
に出ている記事。
写真3枚あり。
以下は 抜粋です:

 「もしチベットが中国から返還されない場合、ラダック
をチベット仏教の聖地にしたい」。ダライ・ラマ十四世が
常々こう話されている北インドのラダック。この地は
海抜3500メートルのヒマラヤ山脈の西裏に面し、カラ
コルム山脈に挟まれ、中国・パキスタンとの国境に接する
インドの軍事拠点。空路ではラダックの中心地レーの
軍事空港を利用する。

極寒の五体投地
2月14日はチベットカレンダーの新年1月1日にあたる。
今年も新年の14,15,16の3日間、ラダックの中心地
レーで、年中行事の五体投地が行われ、1000人が参加した。

「この空の下のすべてのもの、虫けら一つでも幸せになり
ますように」。合掌した手を、頭の上(プッダの教え・
身体)、眉間(お釈迦様・口)、胸(僧の集団・心)の
三点に当て、全身を地に伏せ、立ち上がっては2~3歩、
歩いて、また地に伏せる。極寒のマイナス15度のなか、
朝の3時に五体投地はスタートする。参加者はラダッキー
(ラダック人)に限らず、デリーやフランスからも、
そして日本からも女性一人が参加していた。

 グローバル化した社会からラダックに来て、五体投地に
接する日々は、自分の心の奥底に沈んでいた地球の温もり
を肌で感ずる安心感と、極寒に身を投じ、この空の下に
あるすべての幸せを願う心、自分はいくら苦しんでも
相手の幸せを願う菩薩心に、忘れかけていた、他者を
思う心を呼び起こされると同時に、不思議な力を感じた。

 五体投地はレーの町の人口を八列になって出発。町の
シンボルである丘の上にそびえる城と寺院を右回りに
まわりながら、3日かけて、8キロの行程を進む。
 
日々の忙しい経済活動から離れ、自身の肉体を自然の
厳しい環境に溶け込ませ、ひたすら他者の幸せを祈る
このラダックの人々の姿に、濁世に光明を見る思いがした。



Posted by jtw at 13:28│Comments(0)
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