2006年11月10日

「過去のない男」映画・アキ カウリスマキ監督

この監督はフィンランド人で ドイツ語と 関係ない のですが、記憶喪失になった男が 主人公になっている 映画です。
男は コンテナで不法に暮らす家族に助けられ 着るものさえない生活の中 炊き出しをしている救世軍の女性にひかれて いくという話しです。
男は 名前を 忘れ どこの国の 人間なの かも わからなくなる。
自分の属性を 失えば 働くことも 口座を ひらくことも できなくなる。警察に つかまっても 身の潔白を 証明する 方法がない。
しかし 記憶と属性を 失ったことで 彼は ただ 彼として 今日を 生きる ひとつの 命に なる。むろん 誰だって その正体は いのち なのだが ここでいう 命とは 起きている あらゆることを 受け入れ 味わい 噛みしめる  感受性のことだ。
かすかな 記憶を頼りに 彼は 芋を植え 音楽を聴き 掃除をし 料理を作り 犬を撫でる。それらの ひとつ ひとつを じっくり 味わう。 状況は 混濁した ままでも 生きることを そうやって 再開させる。
会社 肩書き 出身地 学歴 国名など 属性を問う人は多い。 だが 何もかも 失った つもりで 街を歩いてみる....裸の人間として 日だまりを 見ている、 味わっている。 それが 生きていることの 一番の証明なのだ、
以上 明川哲也 著「木漏れ日の禅 街角の禅 属性を失わば」 春秋 2006年11月号 から 引用。



Posted by jtw at 09:24│Comments(0)
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