2007年10月11日

施設を巡り最後に少年院に行く以外の道はなかったのか@ドイツ

マヌエルは母親に施設に入れられたのは9歳の時だった。
その後 8年間に 10の施設・グループホームを たらい回しされた。
ついにハンブルクで 最も危険な少年ギャングとして 新聞の大見出しになった。
母親も 役所も 無力だった。なおざりにされた 少年支援政策の結果だった。

教育しにくい子どもが 犯罪者になってから やっとドイツの役所は 
行動をおこす と ベルリンの社会事業カトリック単科大学の教授・
少年の権利の専門家 Christian Bernzen は言う。
児童青少年援助システムは 崩壊の危機にあると ドイツの
子ども保護協会の会長は言う。
青少年関係の役所は 財政難で、人手不足である。政治は 
子どもの保護を まともに 受け止めていない。
2006年にドイツで 18歳以下の犯罪被疑者は 278447人いる。
その内 67000人近くは 傷害罪である。ベルリンで しばしば 
警察に捕まった青少年は 429人で、ハンブルクは 650人だった。
マヌエルはその内の一人。

マヌエルは 1989年生まれ。既に 両親は 離婚していた。
父親は エクアドル出身だった。父は 養育費を 払えなかったので 
母親は養育扶助を受けた。その後 母は 掃除婦として働いた。
少年局の書類によると:
マヌエルは 母親から 酷い虐待を受け、酷いトラウマを負った。
乳児期から 母親の彼氏から 多くの暴力を受けた。3歳の時 
2階の窓から落ちたか 落とされた。極度の養育放棄だった。

しかし 当時の少年局は そういう状況を理解できなかった。
役所の介護人は 一度も マヌエルと母親を 訪問していない。

マヌエルは 4歳半の時 手首を切るか 電車に飛び込もうかと
思った。この危機的な時期に どもるように なった。
保育担当者を殴った。母親は 養育相談所へ 行くと 約束したが、
母は そこで 相手にされなかったと 主張している。
段々と 彼の 行動は 激しくなった。幼稚園で 先生を 
ナイフで脅した。学校へ 入ると 同級生から盗んだ。
授業は よく休んだ。先生は 母親に 手紙をかいて、
マヌエルは 嘘をつき、盗み、腕を振り回すと 伝えた。
家で 殴られて いるとは 誰も 気が付かなかった。

9歳の時 教会のガラスを 叩き割ろうとして、警察は 彼を確保した。
殴られるから もう 家に帰りたくないと 警察に 言ったが 
それでも 警察は 彼を 家へ 戻した。ところが 母親は 
彼を受け入れなかったので 彼は 施設に入った。
その時 少年局は 里親を見つけようと したか どうかについて 
役所は 答えない。

施設で マヌエルは 日常活動を マヒさせた。屋根に登り 
飛び降りると脅した。夜は何時間も 職員は 彼のベッドの 
そばで 寝入るまで 付いていなければならなかった。
後で 彼は職員に 語ったところによると、家では 
暴力しかなかった。耐え難かったので 死にたかった。

少年局は 問題児を 田舎の施設に 送りたがる。
田舎で 落ち着いて 暮らすという 理屈である。

マヌエルは 別の施設に 送られ そこで 一人の女性職員を 
信頼するようになる。どもりも 無くなった。12キロ太った。
毎日 学校へ 行くようになった。それは 14歳まで続いた。
その職員が 退職を申し出たと 聞いて マヌエルは 頭にきた。
車の修理工場へ 押し入り 車を盗んだ。現行犯逮捕され 施設は
追い出された。
母親は 彼を受け入れなかったので 2004年に 治療教育施設へ 入れられたが、
8週間で追い出された。難しい少年は 施設を たらい回しされる。
たらい回しは 金が かかるだけで、何の効用もない。
ケースワーカーは 子どもへの援助の計画を 考えなければならない。
援助計画の中には 里親のもとでの 養育も 選択肢として 含まれる。
しかし 2004年5月に 共同グループホームに入れられることになった。
半年そこで 暮らした。殴り合い 家具を壊し 職員を侮辱し 
自殺すると脅した。
2004年10月に 教会の献金箱をこじ開けようとして、
オルガン奏者に見つかり 捕まった。
共同ホームの屋根に 登って 石を投げ スコップで 責任者を脅した。
入所者の一人の少年に ビニル袋の中に ウンチさせて その袋を振り回した。
それで また 追い出された。2004年11月にハンブルクに戻り 
2005年1月にハンブルクの共同ホームに入った。
そこで 2室から成る一区画を 与えられた。
彼は ニコというケースワーカーを 信頼するようになり 久しぶりに
気持ちよく生きられた。その時 15歳。「それまでに 経験したなかで 
一番よかった」と 少年局の職員に 話していたが、それでも 学校へは
行かないし、うろつき回って 犯罪を犯した。
もう一人の教育困難少年と 一緒に 家に押し入り 33万円の
ディスプレイを盗んだ。この頃 彼は10回以上 警察に通報されている。

マヌエルはまた 別の少年ホームに移った。
2005年7月に 16歳の誕生日の直前に スポーツカーを襲った。
拳骨で車の持ち主に 殴りかかり、キーを奪った。車を始動
できなかったので 逃げようとした。通行人が 彼の前に 
立ちはだかったので 殴った。その後 逮捕された。
精神科医は 彼を 隔離施設(少年刑務所)に入れることに
賛成した。家庭裁判所は 彼を 少年刑務所へ 入れるように
命令した。すべての援助が 失敗した時 ハンブルク市は 少年
犯罪者を 人の背よりも高い塀の中に 入れることに している。

マヌエルの母は 彼を少年刑務所に入れることに 同意した。母は
向精神薬を使うことにも 反対しなかった。

なぜ 幼い頃に 殴る母親から 養育権を 取り上げなかったのか
は よく 分からない。

少年刑務所で 彼は 誰とも 接触が なかった。職員や入所者を
脅し、騒いだ。「檻の中に 入れられているような 気がした」と
彼は 後で 言った。
監視付きの外出の時 どこかへ 逃げ、4週間後に 自分で戻って
来た。戻って来るのと 引き換えに 「自由に外出できる ように
なって 外で 実習をしたい」という要求をした。

「外国人労働者の市民活動グループ」が 職業準備教育を 約束
したが、社会福祉の役所は 認めなかった。彼は グループで働く
能力はないし、人を脅し 暴力的幻想をもっているから という
理由だった。
それで 少年刑務所に留まることになった。

2006年5月に 彼は虫垂炎で手術した。ホームの職員が 彼を
病院へ 連れて行った時 彼は 騒いで 警察が来た。
手術後 かってに 退院し、ホームに戻ったが 傷が開いてしまって
精神科の 閉鎖病棟に入れられた。
その2-3日後 少年局は 彼を 別の 施設に入れた。

6月に別の事件で ハンブルク裁判所に出廷した。
ハンブルクの高層ビルにある 少年支援アパートに彼を収容
することになった。
そこでは 時間単位で ケースワーカーは 来ては 去り、
夜のあいだ 彼は 一人だった。

彼はある男と一緒に ほっつき歩いていた 9月のある夜
2時頃 バスに乗ったところ、Stephanが 座っていた。Stephanが 
バスを 降りた時 彼らも 降りて マヌエルの連れの男は
威嚇射撃用のピストルを Stephanに 向け、携帯電話と金を
出せと 脅した。マヌエルは バスに備え付けの 緊急用
ハンマーで 殴りかかり 倒れたStephanの 両膝を ハンマーで
たたき 両足を骨折させた。

この事件は 大見出しで 新聞に報じられた。
マヌエルの母親は 謝礼を とって 取材に応じた。
母親は 知的な印象を与えた。何とか暮らして いくのに
掃除婦として働くのでなく、別の人生が あったのではないか
という気持ちにさせる 雰囲気を もった女性だった。
彼女は 言った:「父は アル中で いつも 殴られていた。
父にも 男(夫?複数)にも 殴られていた。」
まるで 天気が悪いとか 良いとか 言うように 淡々と
話した。息子 マヌエルについて 「厳しいことを 言うようだけど、
もう 何の愛情も感じない」。
しばらく 間をおいて 付け加えた「ペットを飼っていて 今は
ペットのために 生きてます」

永続的な準拠人格(特定個人の 人格形成において 規範・準拠
の役割を果たす人物)(レファランス パーソン)のもとに
この少年を 置くのでなく、この子を 移動サーカス団に 入れた
のではないかと ハンブルク市議会の 議員は言う。

マヌエルの弁護士は 言う:「役所は この少年を 幼い頃から
拒否してきた。彼を 助けないで 管理しただけだ。そういう
無思慮が マヌエルのような 犯罪者を 生む」。

Stephan 襲撃事件によって 彼は 2年の刑に服する。
事件から もう 1年以上たって 刑期はあと1年。
母は 面会に来ない。50ユーロ(1ユーロ=160円)を送ってきた。

侘しい面会室で 記者の問いに 答えてくれた。
人生で 何が うまく行かなかったか? という問いに
答えた:「母は いつも 働いていて ヒマがなかった。
いつも 男を 取り替えていた。いつも 殴られた」
「将来の計画って? 十年たったら、娼家を 開きたい。
堅気の道は もう 行けない」。

下記サイトから:
http://www.stern.de/politik/panorama/:Kriminalit%E4t-Endstation-Jugendknast/599539.html

★ 上記と同じカキコミが 別のブログに出ています。
管理人が 同じなので 盗作でないです。
  


Posted by jtw at 06:37Comments(0)