2006年10月05日

奥の細道クリストフ・ケンプ

クリストフ ケンプ博士は 60年代に京都ドイツ文化センターの所長を 定年で退き ドイツへ帰られた。ケンプさんは 1937年に交換学生として 京都に来た。戦争が迫り 1939年に帰国。第2次大戦になり 5年間を フランスや東欧の戦線に つづいて 6年をシベリアに 抑留された。1956年に天理大学に職をえて 再来日。以後 京大でも ドイツ語を教えた。
ほぼ6年にも及んだ シベリア抑留生活で 同じ立場の日本人の捕虜と交流があった。なかでも 特に親しくしていた ある人が日本へ 帰れることに なったとき 一冊の文庫本を ケンプさんに贈って帰った。 それは 岩波文庫 「奥の細道、その他-芭蕉翁紀行集」だった。捕虜生活が それで どれほど 慰められた ことか。暗記してしまうほど 繰り返し 繰り返し 読みながら 楽しかった 日本での 生活を 思い出していた。
一冊の本に 芭蕉の紀行文集を 選んで 戦地へ もっていった 兵士、極寒のシベリアで 重労働の合間に 秘かに このページを繰った若者。その宝もの とも いえる この本を 日本を 第二の故郷として 懐かしむドイツ人に 贈って 帰っていった人...
「図書」1997年9月号 上田真爾子(まにこ)さんの 記事から。
まにこ の 「に」は ホントは もう少し 簡単な漢字です。一をかいて その下に 向を書き 向の中の 口を 取り去り 代わりに 縦棒 2本引く。くるしい...
  


Posted by jtw at 07:03Comments(0)