2006年09月12日

未熟の徳

脳波には 二つあって 目をあけて静かにしているときに でるのが アルファ波。 ベータ波は 精神活動を しているときに 出る。
年をとると 無意識的行動が 多くなる。ベータ波は はたらいていない。そうして ボケを招く危険が 大きくなっていく。
同じ仕事を 十年一日のように続けていると 馴れを通り越して 熟練の状態に達する。とくに 頭を使わなくとも りっぱに 仕事をこなす ことが できる。 しかし そういう仕事は 思考停止 無自覚行動に 近いものに なっていることが すくなくない。
うまくなる 習熟するから いけないのである。考えないでも できるように なるのが 上達であるが そこに 思考停止の危険が ひそんでいる。
寺田寅彦は 新しい外国語を つぎつぎ勉強したらしいが マスターしないうちの語学が思考力を 高めることを知っていた のでは なかろうか。
凡人は 上達、習熟を願うが 君子は 熟練を つつしみ 不器用を とうとぶ。

外山 滋比古 先生著 ”未熟の徳”、月刊 ”みすず” 2002年11月号 から 引用。

  


Posted by jtw at 04:34Comments(2)